よくありがちな、たからさがしゲームを仕掛けてきたときには、
まあ乗ってやるかーなんてそんな感じで。
わけわかんないふりしつつ、プレゼントにたどり着いたら
派手に驚いてやろうとか、多少は打算的にも考えていたわけで。
たからさがし
自分の誕生日に、相手の家に呼ばれた。
その意味がわからないほどお子様でもかまととぶるつもりもないので、
それなりの下着とそれなりの心構えでもってチャイムを鳴らしたのだが。
「うぃー、す・・・」
「かめ!」
玄関のドアは勢いよく開かれ、ついでにたくましい腕が伸びてきた。
ぐ、と中に引き込まれ、何か手渡される。
この強引さは嫌いじゃないが、いきなり何事かと手元を見ると、それは
不格好な形のカードだった。
明らかにお手製という感じで、わざわざこしらえたのかと、ちょっとほっこりした。
バースデーメッセージか何かかと、文章に目をこらすと、
そこにはたったひとこと。
『キッチンの銅のふた』
どうやら、プレゼントか何か、隠してあるのだろうと目星がついた。
(鍋、という漢字が書けなかったのだろう。銅って。)
「じん、おま、さっむ・・・!」
「うっせー!いーから探せ」
そっぽを向いて頭をかく可愛い男。
さらにほっこりして、意気揚揚、おれはキッチンへ向かう。
鍋のふたの裏側に、またカード。
『ソファのクッション』
うわー、こーゆーのドラマとかマンガで見たことあるーとか年甲斐もなくはしゃいでみたりして。
じんはその間ずっと、「うっせー」だの「はよしろ」だの言いながら、おれの後ろをついてまわる。
『TVの横の柵(棚のことだと思われる)』やら、『炒飯ジャー(炊飯ジャーだろう)の中』やら、
見事かつ絶妙に漢字を間違えてくるので、いっそわざとか大喜利かと問い詰めるも、
「かめのはげ!」とちょっと真剣に照れて悩んで落ち込んでいたので、マジだったらしいと理解し、
え、マジなのかよとおれもちょっと落ち込んだ。
いやもうほんと、英語ができてよかったこの子。
図体ばかり一人前の24歳児を横目に、おれはジャーの中から指令されたとおり、寝室へ向かう。(寝窓、と書かれていたことにはもう触れない)
キャストの中を開けると、ちいさな箱。
ああ、と察しがつく。
何度も言うが「えっこれなあに!?」などとかまととぶるつもりはない、おれはそれが指輪であろうことを知っている。
開けるより先に、「ありがとう、じん、すきだよ」と告げると、「セオリー無視すんな、あけてからいえ」と小突かれた。
開けるとやっぱり指輪。
シンプルなフォルムが、きっとこれから長くおれの指を占領するであろうことを予感させる。
もういちど、「ありがとう、じん、すき」と告げると、今度は「よーっく見てからいえ」と催促される。
何を、と思ったが、とりあえず目の前の指輪をよーく眺めてみた。
なるほど、裏側に何か彫ってある。
ハッピーバースデーかジェートゥーケーか、いずれにせよ死ぬほど嬉しいものに違いないと想像がついたが。
「よんで」
言われるとおり、読んでみる。
「えっと、・・・なんだこれ、
『ゼアーズ、ア、トレジャー、ビハインド、ユー』・・・?」
うしろ?不思議で振り向くと、
ぷちゅ、とキスされた。
「ね?おれ、に行き着くの」
さすがに驚く。
「おまえのたからものって、おれじゃん、絶対」
な、とニヤニヤする24歳児。
だから、おれっていう宝物をプレゼントする、と豪語して、でもやっぱりそっぽを向いて頭をかく。
それから、
「リングの裏、に、それ彫ってもらうの、ほんと、恥ずかし、かったー」
何度もキスをしかけながら、それだけ言ってのけ、最後には舌まで入れる強めのキスで、
・・・照れをごまかしているのだろう。
そんなことされたら、こっちだって照れるしかないではないか、と思う。
何をどうして、この計画を実行に踏み切ったのか。
予想外すぎる展開に思考を止めていた脳が、ようやく再回転する。
「おれっていう宝物をプレゼントっておま、そのセリフ・・・」
寒すぎる!と思わず噴き出してしまった。
じんにも多分にその自覚はあったらしく、わざとらしくむくれてみせた。
「だってさー、リングはーピンキーとか入れると三度目だしー、財布もベルトも香水も、
なんでもあげちゃってるしさー、サプライズくらいしかプレゼント思いつかなかったんだっつの」
ほんとうに可愛い男。
そうやって、いろいろ考えてくれてることが嬉しいんだ、なんて母の日のおかあさんみたいな心境になってしまう。
ちなみに、「おまえの宝物はおれ」とか「おれをプレゼント」とか
そういう自信過剰発言すら、
じんだ、
と嬉しいおれは、たぶん救いようがない。
おれがはじめて、誕生日にもらった指輪には
イニシャルでもバースデーメッセージでも、日付だのでもなく
おれたちだけがわかる、
宝のありかが示してある、ということだ。
それって悪くないな、と
またキスを受けながら、思った。
甘ったるくて申し訳ない。
なんかハピバ企画始めちゃいました。
真面目に誕生日をお祝いしたことなかったので、ちょびっと気合入れて、数打ちゃ当たるの精神でいっぱいおはなし書くことにしました・・・
かけると、いいな・・・